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『海辺のカフカ 』 下 村上春樹



村上作品は、全作品読んでいて、
老眼が始まったので、最近文庫本を
全部単行本に買い替えたという
ハルキストに、
1番好きだとおすすめしてもらって
読んだのですが
今まで読んだ村上作品の中でも
幻想的で、ロマンティックな物語でした。



なかなか読めなくてやっと読了。
印象に残った箇所の覚書きだけ。




■ 戦争により知能が低くなってしまった老人ナカタさんと、
東京の中野区から、四国へと
10日間、旅をする事になってしまった
トラック運転手の星野青年の言葉。

「途中から物の見事に無断欠勤だ。
俺はそのことをぜんぜん後悔しちゃいないってことなんだ。おじさんは俺という人間を変えちまったんだ。いろんな景色の見え方がずいぶん違ってきたみたいだ。ちっとも面白いと思わなかった音楽が、ずしっと心に沁みるんだ。そういう気持ちを誰か、同じようなことがわかるやつと話せたらいいなとか思っちまうんだ。俺っちがずっとナカタさんのそばにいたからなんだ。そしてナカタさんの目を通してものを見るようになったからなんだな。俺はおじさんが世界を見る姿勢みたいなものをけっこう気に入っていたからだ。おじさんから離れることができなかった。俺のこれまでの人生の中で起こった中ではいちばん『実のある』ことのひとつだった。」

(396より抜粋)

1人の人と出会い、違う価値観や考え方が新たに加わる。最たるものが、人生の伴侶ではないかと思った。



■ 頼まれて原稿をすっかり焼いてしまった時の会話。

星野青年「世の中から かたちのあるものが少し減って、そのぶん無がふえたってわけだ」
ナカタさん「無は増えるものなのでありましょうか?」「そいつはむずかしい問題だ。無は増えるか?無に帰するというのはつまりゼロになることだし、ゼロにゼロを加えても、それはゼロだもんな。」


(390pより抜粋)

堂本剛くんが常日頃言ってる「プラスでも無く、マイナスでも無いということ。男のような女のようなという性別のことであったり、権力、地位とかそういう話はもうやめましょう。昔、今とかじゃなくって、もっとまっさらな気持ちで生きることがいいんじゃない。 」
・・を、ふと思い浮かべた。



また、

「これから何かちょっとしたことがあるたびに、ナカタさんならこういうときにどう言うだろう、ナカタさんならこういうときにどうするんだろうって、俺はいちいち考えるんじゃねぇかってさ。で、そういうのはけっこう大きなことだと思うんだ。つまりある意味ではナカタさんの一部は、俺っちの中でこれからも生き続けるってことだからね。」

(p502より抜粋)

これも、お恥ずかしいけど、気の短くて気が強い私ならこう考えるけど、心穏やかな剛くんならきっとこうするだろうな。と、思う時がある。また、亡くなった母が、私くらいの年には、こんな時どうしてたのだろうかと。思いを巡らせる時がある。人は死んでも魂は生き続ける、ってことなんだと思う。





■ 旧帝国陸軍の軍服を来て、三八式歩兵銃を手に取り歩く二人が、15才の田村カフカ少年に話しかける会話。

「どうして我々がいまだにこんな重い鉄のかたまりをかついでいるのか、君は不思議に思うかもしれない。なんの役にも立たないのにね。だいたい弾丸だって入っちゃいないんだ」「つまり、これはしるしなんだ。俺たちが離れてきたものの、あとに残してきたもののしるしなんだ」「象徴というのは大切なものだ。」「我々はたまたま銃をもって、兵隊の服を着ているから、ここでもまた歩哨みたいな役を引き受けている。役割。それも象徴がみちびいているものだ。」
(386p)

先日お亡くなりになられた市川団十郎さんや
なぜ代々続けなければならないのか
ご自身もその理由が今だ理由が分からないまま、ご子息をもやはり(ご本人いわく狂言サイボーグである)狂言師とした、野村萬斎さんなど。

戦争と天皇などから、重要文化財と呼ばれるものから歌舞伎や能といった日本の伝統文化などを重ねて読んでいた。



読書というのは、読んだ時代、読んだ年齢でしか感じないその時々の気付きがある。初めて読んだ時は、は?なんだこりゃ?と思っても、10年後に自分が置かれた立場、状況、環境によっては、同じ物語に涙を流すかも知れないのだ。だから人は繰り返し本を読み返すのだろうと思う。





韓国語 版 洋装本





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